2008-07

まちがいだらけの自転車選び

自転車仲間うちで今話題の本、「まちがいだらけの自転車選び/エンゾ・早川著」を読んだ。エンゾ氏のこれまでの著書は、「ロードバイクバイブル」、「ロードバイクセッティングバイブル」を持っており、私のロードバイク選びに少なからず影響を与えてくれた。今回の新刊はそれらの著書と一線を画した気合の入った“力作”だ。
自転車乗り、正確にはロードバイク乗りに対して、様々な問題提起をしてくれる。時として(というか全編にわたって)毒舌となる語り口は、我が意を得たりのときは溜飲を下げてくれるが、意に沿わない意見が出てくると、えーここまで言うかーと感じて内心ムカツクこともある。どちらの論にしても、生半可ではない、覚悟を決めて書いた論説なので、読む側にも受容するのか拒絶するのかが迫られる。
自転車を趣味として楽しむ一個人としては、まあ、そんな意見もあるんだなと聞き流し(読み流し)てもいいんだけど、自転車選びに関して自分もそれなりに考え、時には悩み、そして今の選択が良かったのかどうか折に触れて自問自答している身としては、やっぱり気になる。
我が意を得たりの部分としては、昨今の、ひらすら軽さを求めた、フルカーボン全盛の風潮を痛烈に批判し、自転車にはある程度の重量が必要で、従ってクロモリしかもイタリアンのクロモリを選択すべしとしている点。また、シマノではなくカンパを選ぶべしとしている点。最近のパーツはやたら意味もなく黒塗りのパーツが多く、美的観点で言えばNGだとしている点、など。
一方で、これはちょっとここまで言わなくてもと思うところは、コルナーゴは工場をイタリア国外に出した時点で終わった、もう乗ることはないだろうと、ばっさり切り捨てている点。確かに、我がマスターXライトが、イタリア国内での生産ではないという噂(というかあるショップの親父に断言されたのだが・・・)は耳にしている。八重洲出版のムック、「コルナゴフォーエバー」にも、フォークの溶接の写真はあるがフレームの溶接の写真がないことを見ると、やはりそうなんだろうなとも思っている。でも、それだからといって「もう乗ることはないだろう」というのはいかがなものか。Giosも半分以上のモデルは台湾生産だというのに、この論理は矛盾していないかい?と憤ってしまう。
コルナゴについてのこの一文を除けば、クロモリ、イタリアンバイク、カンパ、シルバーパーツ、そしてサイズが重要である点などなど、氏の薦めるこれらのキーワードは、「おっしゃるとおり!」であり、おおむね私の自転車選びは間違っていなかったと思えるので、悔しい部分はあるけど、まずは良しとしておこう。
某米国完成車メーカー、天下のシマノ、そしてあのコルナゴやピナレロを批判の対象としているこの本を出すこと自体、勇気ある行為ではある。
確かに氏の言うように、広告主に収入の半分以上を握られている自転車情報誌では、スポンサー意向を無視した記事など出せるはずもなく、また、自転車の本当の良し悪しをわかっている人は、クルマの世界と比べて圧倒的に少ない事情を考えると、一消費者が、正しい自転車選びをするのはとても困難なことではある。
私の場合、2ヶ月ぐらいかけてあーでもないこーでもないと考えたあげく、一旦発注したのを取り消してお店に迷惑をかけたりもした。当時信頼できるショップとの付き合いも薄かったので、頼るものは本やネットからの情報しかなかった。迷ったときの判断のよりどころは、自分が美しいと思うかとか、好きか嫌いかとか、最後は自分の価値観でしかなかった。
買った後、後悔がなかったかというとそんなことはなくて、これで良かったのか?とふと考えてしまうこともしばしばあるのも事実。特に他の人のカーボンバイクを持ってみたとき感じたあまりの軽さに驚いたし、我がクロモリでつらい坂道を登っている最中に「もしかしたらこの選択は失敗だったのかな・・・なんせ2kgも重さが違うんだもんなぁ・・・」と買うことを決めたときの確信がぐらついてたこともあった。でも、この本によって、「良かった!クロモリにしておいて!」と正直安堵した。重いほうが実はよく走る。そうかそうだったんだね。うん、よしよし。
台湾製だとしても、エルネスト氏のマネジメントが働いているプロダクトであることを信じて、今後我がカンパのシルバーパーツで組んだマスターXライトに一生乗り続けていこう、と思ったわけである。
エンゾ氏よ、悔しさは残るけど、あなたは正しい。

テーマ:自転車 - ジャンル:趣味・実用

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プロフィール

えるねすと

Author:えるねすと
自転車をこよなく愛する47歳。
現在の愛車:
コルナゴ MASTER X-light
ジャイアント MR-4R
過去の愛車:
丸石エンペラー
えるねすとの意:わが愛車コルナゴの創設者、エルネスト・コルナゴのファーストネーム。英語読みはアーネスト。ernest→earnestの綴りに似ているが、earnest(真剣に、一生懸命)の意味もかけている。つまり、自転車に真剣に取り組む、という感じ。

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